【同性パートナーに不貞慰謝料を命じる判決 東京高裁】

こんにちは^^


レイ法律事務所の弁護森伸恵です。

 

今月4日、東京高等裁判所が、同性カップルの一方の不貞行為により関係が破綻したことについて、パートナーの不貞行為は、婚姻に準ずる関係から生じる法律上保護されるべき利益を侵害する不法行為に当たるとし、パートナーに対する損害賠償請求を認める判決をだしました。

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画期的な判決

★婚姻している夫婦の場合
日本では男女の夫婦の場合、婚姻と同時に貞操義務を負い、不貞は「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為」とされます(最判平成8年3月26日)。

 

事実婚(内縁関係)の場合
また、男女間の場合、婚姻に至っていない内縁関係の場合にも、「男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合という点においては、婚姻関係と異なるものではなく、これを婚姻に準ずる関係というのは妨げない」(最判昭和33年4月11日)とし、不貞を行った恋人又は恋人と不貞関係を行った第三者に対し、損害賠償を請求できるとしています。

 

同性カップル事実婚の場合

本裁判のポイントは、同性カップルの関係も、内縁関係(事実婚)としての保護を受けるかという点です。

 

3月4日の高裁判決は「他人同士が生活を共にする単なる同居ではなく、同性同士であるために法律上の婚姻の届出はできないものの、できる限り社会観念上、夫婦と同様であると認められる関係を形成しようとしていたものであり、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合としての婚姻に準ずる関係にあったということができる」と述べ、本裁判における同性カップルの関係が「婚姻に準ずる関係から生じる法律上保護されるべき利益を有する」、と判断しました。

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要は、同性カップルであっても、単なる交際にとどまらず、婚姻に準ずる関係と言える関係の場合は保護され、不貞をしたパートナーやその不貞相手に慰謝料を請求できる。

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パートナーの不貞は、婚姻に準ずる関係(事実婚)に対する侵害
高裁は、「(本件カップル※筆者注)は、互いに婚姻に準ずる関係から生じる法律上保護される利益を有していることからすれば、」パートナーが第三者と性的関係を結んだことにより、「関係の解消をやむなくされた場合」、損害賠償請求が認められると判断しました。
本件では、同性カップルの長年の関係性が重視されました。


二人は7年間共同生活を営んでおり、アメリカで同性婚を結び、日本でも親しい人に二人の関係を明らかにし、結婚式を挙げていました。また二人で住むためのマンションの購入を進め、共同して子供を育てる約束をしていた等の事情もありました。


このような事情を総合的に考慮し、婚姻に準ずる関係にあったと認定しました。

 

異性と同性とで保護の程度に差異を設けない
本裁判の前審となる地裁判決は「現在の法律上では認められていない同性婚の関係であることからすると」、「法的保護に値する利益の程度は、法律婚や内縁関係において認められるのとはおのずから差異がある」と判示していました。

しかし高裁判決は「事実上の夫婦でありながら、異性と同性とで法律上の保護に値する利益の差異を設けることは性別による差別の取扱いである」と判示しました。

 

要は、同性婚を認められていない同性カップルだからということで法的保護の程度を下げるのは差別であり、同性カップルにおいても婚姻に準ずる関係にある場合は、男女の関係と同じように保護すべきであるという意味であり、踏み込んだ判断と言うことができます。

 

損害賠償の額は?
実際に、不貞をしたパートナーにどの程度の金銭賠償を負わせるかですが、こちらについても、高裁判決は「性別によって差異を設けているのではなく」、「婚姻に準ずる程度とその保護の程度は、それぞれの関係の実態に基づいて判断する」と判示し、同性間だからということで異性婚の不貞慰謝料よりも金額を下げるのではなく、それぞれのカップルの関係性の程度に基づいて慰謝料の金額を決めると判断しました。

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同性カップルの不貞慰謝料請求が増える??
本裁判における同性カップルは、単なるお付き合いをしているにとどまらず、婚姻に準じる関係にあったとして、保護すべきであると判断されました。

そこで、本裁判と同じように、婚姻に準じる関係にある同性カップルのパートナーが不貞を行った場合、不貞をされた側は同じように損害賠償請求ができる可能性があります。
【婚姻に準ずる関係といえるかの判断要素】
交際開始時期、交際期間

共同生活の期間

地方自治体のパートナーシップ証明の取得、パートナーシップ契約の有無、海外での同性婚
任意後見契約や遺言の有無
二人の関係を周囲の人に明らかにしているか
結婚式や披露宴の有無
一緒に暮らす住宅の購入

共同して子供を育てる約束、若しくは既に一緒に子育てをしているか
生活費の分担等

これらの要素のうち、どれかが欠けているとすぐに「婚姻に準ずる関係」にないと判断されるわけではありません。これらの要素を総合考慮して、婚姻に準ずる関係にあったか判断されます。

もし今、同性カップルの方で不貞慰謝料請求を考えている方は上の要素を

チェックしてみてください。

 

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イメージ 一緒に暮らす自宅の購入

 

レイ法律事務所でも、同性カップル間でパートナーに対する不貞慰謝料や、パートナーと浮気をした第三者に対する慰謝料請求の経験がありますが、今後、日本全体で同性カップルの方の不貞慰謝料が増えるかもしれませんね。

 

また、本裁判は「世界的にみれば」、「同性同士のカップルにつき、同性婚を認める国・地域が25を超えており、これに加えて登録パートナーシップ等の関係を公的に認証する制度を採用する国・地域は世界中の約20%に上っており、日本国内においても、このようなパートナーシップ制度を採用する地方自治体が現れてきているといった近時の社会情勢等を併せ考慮すれば」、「同性同士のものであることのみをもって」「法律上保護されるべき利益を有することを否定できない」と明言しました。

 

つまり、同性カップルにおいても婚姻に準ずる関係にある場合は保護されるべきと司法が判断したわけですから、日本における同性婚の法整備にもプラスの影響を及ぼす可能性があるでしょう。

 

パートナーの不貞(浮気)で悩んでいる方、同性カップルの方で不貞慰謝料請求をお考えの方はこちら

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