同性カップルの養子縁組

同性カップルの養子縁組】

レイ法律事務所では同性カップルの方からのパートナーシップ契約の作成について多くのご相談を受けておりますが、パートナーシップ契約ともに多くのご質問をいただくのが同性カップルの養子縁組です。


今回は、同性カップルの方の養子縁組の内容、養子縁組のメリット・デメリット、養子縁組の手続・費用についてお伝えしようと思います。

 

1 養親縁組とは?
養子縁組とは、

「養親と養子との間に法律上の親子関係を作り出す制度のこと」をいいます。

この「法律上の親子関係」というのがポイントですね。


つまり、同性カップルの方が養子縁組をすると、法律上の家族になるということなのです。

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誰が養親になるか、誰が養子になるかは、同性カップルの方によって様々です。

多いパターンは、
A 同性カップル片方が養親に、もう一方が養子に
B 同性カップル片方の実親が養親になり、もう一方が養子に。
  同性カップルは同じ兄弟になる
です。

 

 

2 養子縁組のメリット
では次に、同性カップルが養子縁組を行うメリットを見ていきましょう。

※下記のメリット・デメリットは上記1のAパターン(同性カップルの片方が養親に、もう一方が養子になるパターン)を想定して書いています。


メリット
親子という法律上のつながりが生まれる
⇒法律上の家族になれる


②扶助義務(民法730条)、相続(民法887条1項、同889条1項1号)が発生


③親子なので税務軽減、社会保険制度を利用できる場合がある。

一番のメリットは、法律上のつながり(法律上の家族になれること)です。
同性カップルの方の中には、ずっと自分は一人なのではないか。。。と孤独感を感じている方もいます。


養子縁組は、法律上の親子、すなわち家族になることを意味しますので、
安心感を感じる方もいると思います。

 

3 養子縁組のデメリット
現在の日本は、同性婚が認められていませんが、養子縁組をすることで法律上の家族になれるのであれば、養子縁組で足りるという考えの方もいるかもしれませんね。


しかし、同性カップル間の養子縁組には次のようなデメリットもあります。
(※同性カップル間の養子縁組に反対しているわけでは一切ありません。
あくまで一般的に言われるデメリットをお伝えしています。)

デメリット
①婚姻の効果である同居協力義務(民法752条)、貞操を守る義務(浮気をしない義務)、婚姻費用の分担の義務(生活費を分担する義務)が生じない。

 

②養子は養親の名字に変わる
(※これがメリットになるかデメリットになるかはカミングアウトの有無・程度により各同性カップルの方の間で異なると思います。)

 

③養子縁組をした事実は戸籍に記載される
(※これがメリットになるかデメリットになるかはカミングアウトの有無・程度により各同性カップルの方の間で異なると思います。)

 

④相続については別途、遺言書を作ったほうが良い場合がある。
(養親になるパートナーに実子がいる場合、養子に実子がいて養子の方が養親より先に亡くなった場合等)

 

⑤「縁組をする意思」(民法802条1項)がないと判断される可能性がある。   
これはどういう意味かと言いますと、養子縁組が成立するには「縁組をする意思」が必要です。
「縁組をする意思」とは、社会通念上、親子の関係になることを望むことを言います。
 ※そのため、親子の関係ではなく、他の目的を達するために縁組が行われたときは無効となることがあります。
 しかし、養子縁組が無効とされる典型例は複数の金融機関やサラ金から借り入れを行い、多重債務に陥り、これ以上の借り入れができなくなった人が苗字を変えることで再度の借り入れを行おうとするといった悪質なケースです。
 そのため、同性カップル間で養子縁組をすることが即、無効と判断されるとは思いません。
 もっとも、同性カップル間の養子縁組について、親や兄弟に伝えていない・若しくは理解を得ることができていない場合には、養親の親や兄弟に養子縁組の有効性を争われる恐れはあります。


★重要判例最判平成 29 年1月 31 日〔最高裁ホームページ〕) ★

「養子縁組は、嫡出親子関係を創設するものであり、養子は養親の相続人となるところ、養子縁組 をすることによる相続税の節税効果は、相続人の数が増加することに伴い、遺産に係る基礎控除額を 相続人の数に応じて算出するものとするなどの相続税法の規定によって発生し得るものである。相続 税の節税のために養子縁組をすることは、このような節税効果を発生させることを動機として養子縁 組をするものにほかならず、相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得るものである。し たがって、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について 民法 802 条1号にいう『当事者間に縁組をする意思がないとき』に当たるとすることはできない」 。
【争点】もっぱら相続税の節税のために養子縁組をする場合、ただちに当該養子縁組について 802 条 1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」にあたるとすることができるか。
【結論】あたるとすることはできない。


法務省の通達では、
「疑わしい事実については調査し、場合によっては不受理にする」となっています。
 しかし、法務局の通達が想定している養子縁組の届出を不受理にするケースは、先に挙げたようなケースと考えられます。
 よって、同性カップルの方の養子縁組届がすぐに不受理になることはないと考えます。
 しかし、同性カップルの方の養子縁組の場合、「法律上の親子」になることを望んでの養子縁組ではないため、市役所ですぐに受理されずに調査にまわされたり、場合によっては不受理となる可能性はあります。

 

同性婚の障害事由になる可能性(※こちらのデメリットは確定ではありません。)
 民法には、養親子の関係にあった者は結婚できない(民法736条)という規定があります。
 そうすると、日本で同性婚が法制化された際に、かつて養子縁組をしていた同性カップルの方は、「養親子の関係にあった」の条項に抵触するので、条文上は婚姻できなくなる可能性があります。
 しかし、同性婚が法制化された際に、「同性同士の養子縁組については、上記規定の婚姻が禁止されている『養親子』関係には該当しない。」との特例が施行され、養子縁組をしていた同性カップルの方でも婚姻できるようになるのではと考えています。

 

4 養子縁組の要件
養子縁組のメリット・デメリットを踏まえた上で養子縁組を前向きに検討中の方は、
養子縁組の要件を満たすかどうかチェックしてみてください。


■養子縁組の要件
 ①養親は成年でなくてはならない(民法792条)。

 ②養親より年上の者が養子になることはできない(民法793条)。

 ③配偶者がいる者が養子縁組をするには、配偶者の同意が必要(民法796条)。

 ④養子が未成年者の場合、原則、家庭裁判所の許可が必要(民法798条)。

 ⑤縁組をする意思(親子になる意思)が必要。

 

5 養子縁組の手続き

いざ、養子縁組をする場合は次のような手続を行います。

【養子縁組に必要な書類】
 ①養子縁組届←養子縁組届のフォーマットは各市役所にあります。
       ←養子縁組には成年二人の署名が必要になります。
 

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※養親縁組届はこんな感じです。

 

 ②本人確認書類(身分証明証等)
 ③印鑑
 ④養親及び養子の戸籍謄本
 ※本籍地の市区町村に提出する場合は不要です。

 

【届出場所】
 上記必要書類を、市区町村の役所窓口に届けます。
 ※詳しくは、届け出を考えている市区町村のホームページをご確認ください。
 ※養子縁組の場合、役所に支払う手数料等はありません。

 

以上、本日は同性カップルの方の養子縁組についてお伝えいたしました。